月刊BLUEBNOSE 2026年05月号(#29)『KPIも、課題も、見つけだせ』

SNSや書籍で「正しいKPI」というフレーズを見かけると、ついモヤっとしてしまう理由について解説してみました。
正しいかどうかより、とにかく測ること。とにかく動き出すこと。
KPIなんて何でもいいから、走り出そう。
BLUE B NOSE 2026.05.15
誰でも

マーケティングや、MBA的なコンサルティングについて学ぼうとすると必ず遭遇するのが「KPI」。

KPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」と訳され、組織やプロジェクトの最終目標(KGI)達成に向けたプロセスが順調に進んでいるかを定量的に評価する中間指標

AI による概要より引用

適切なKPI、SMARTかつ正しいKPIを見極めることは確かに大切だと思うものの、誰かの取り組みに対して、高所大所から重箱の隅を突くような指摘をするのは、いけ好かない。

KPIなんて何でもいい。
別に間違っていても構わない。

今回は、私がそう思う理由についてお伝えします。

選ぶ暇があるなら、まず測れ

適切なKPIが何かを検討している間にも、時間は流れていきます。
何が正しいかを悩んでいる暇があるなら、その時間も無駄にしないよう、とにかく測り始めるべき。
正しくないKPIを追いかけるリスクより、モニタリングしないリスクや損失の方が遥かに巨大です。

別に、間違っていてもいいんです。
それよりも、計測対象として目を向けること。
とにかく観察し始めることが大切。

キーイベントを設定しないまま、Google アナリティクスの計測、サイト運用が始まったとしても、セッションや表示回数、滞在時間は計測できます。
ユーザー数やセッション数が伸びれば、施策が順調なことぐらいは分かるでしょう。

どんな地域からアクセスされていて、どんな経路で流入しているのかも分かるし、サーチコンソールと併用すれば、検索クエリや順位も何となく把握できます。

どんな仮説検証も試行錯誤も、まずは動かすこと。一連の取り組みをスタートさせ、走らせること。
完璧じゃなくても大丈夫。

絶対的な間違いがあるとすれば、動き出さないこと。
計測がスタートできるのなら、何を選んでも構いません。

測らないと、見えてこない

Google アナリティクスのレポート画面も、サーチコンソールの検索パフォーマンスも。
グラフになったり、数量を表示してくれるから、何となくの現状や変化、トレンドが見えてきます。
適切なKPIに悩んで計測を始めなければ、こういった情報も掴めません。

ユーザーあたりの平均滞在時間や、流入経路と離脱率、あるいはキーイベント、コンバージョンの発生率など、他のデータでも良いから集めて関連付けることにより、意外な繋がりや傾向が見えてくることも。

測り始めてみないと、分からないこと、見えないことが沢山あります。
そして、測るからこそ、計測できていないことも見えてきます。

「あのデータが欲しいのに」と。
なぜそのデータが取得できないのか、なぜ計測されないのかも、測り始めるからこそ目を向けられる。
そうやって初めて、「もしかしたら?」と本当のKPIらしきものが見えてきます。
それが本当に追うべきKPIかどうかも、取り組んでいる最中ははっきりとは分かりません。

試行錯誤して走りながら考えているうちに、KPIの選定も試行錯誤する。
手探りでスタートし、適切なKPIを取っ替え引っ替えする方が「正しいKPI」を延々と悩むより良い。
マーケティングに向き合う実務者であればあるほど、そう思うんじゃないでしょうか。

精密さや精度も、程々でいい

「正しいKPI」と同時に、必死になって「正確なデータ」を計測しようとするのも、避けた方が良いと考えています。
精度や精密さを追いかければ追いかけるほど、計測される側は利便性を損なうからです。

例えば、Webサイトであればヒートマップツールや、A/Bテストのツールを組み込むことが可能です。
Googleアナリティクス以外の計測タグを埋め込むこともあるでしょう。

それで確かに精密かつ精度の高いデータを取得できますが、表示パフォーマンスは下がります。
Googleが提供しているGoogleアナリティクスですら、Page Speed Insightsのテストでは「第三者コードを入れるな」と減点されるのに、他のツールが山ほど入っていたらどうなるか......。

アクセス解析だけでなく、正確な計測、正確な記録のためには、対象物の自由を奪う必要があります。
例えば、レントゲン撮影やCT撮影など。身体を部分的に固定して「動かないでください」と言われるはず。何らかの資格試験で、持ち込み自由とはならないでしょうし、外部のネットワークにアクセスしてカンニングしても良い、とは言われません。

目の動きを計測したり、モーションキャプチャーで動作のデータを取得したり。
正確に測ろうと思えば思うほど、自由度や利便性とはトレードオフの関係になる。

だから、「大体合ってるなら、それでいい」ぐらいの開き直りも、時には必要じゃないでしょうか。
精度を追いかけたところで限界はあるし、精密さを追求しても、自然なデータは計測しにくい。
正しいKPIを追いかけないのと同様に、正確なデータも無理して追いかけない。

アクセス解析であれば、Googleアナリティクスで独自のキーイベントを計測し、サーチコンソールと連動させるぐらいで十分。細かい数字を計測して精度を上げる、その数値を改善するために躍起になるのも、程々でいい。

正確さより、大まかな傾向、トレンドが把握できること。
それに向き合い、腕組みをしながら因果関係や相関関係に思いを馳せること。
それが出来れば、多少間違っていても大丈夫です。

実務者は、正しいか否かを気にしない

教科書というか、建前としては「適切なKPI」とか「SMARTなKPI」という話をします。
ただ、実際の実務でも「正しいKPIかどうか」を気にする余裕はないでしょう。
「間違いない」と確証を持っている人も、ごく僅かじゃないでしょうか。

KPI以外のデータ計測についても、「一切間違っていないか」と気を張り詰めてしまうと、日々の業務としては長続きさせられません。

正しいかどうか。
あるいは自分の判断、一挙手一投足に何一つ間違いがないかを気にしてしまうと、動けなくなります。

実務として大切なのは、正しさよりも「機能しているか否か」。
結果として「機能しているから正しい(と思われる)」のでは。

正しいKPIも、解決すべき課題も、最初からは見えてこない。
実際に手を動かし、向き合って見たら見えてくるもの。
そして、「それらしいKPI」や手強い「根深い問題」が、どんどん奥の方から片鱗を現すものです。

外から眺めているだけでは、正しいKPIは見つからないし、分からない。
やってみないと見つからないのが、「適切なKPI」じゃないでしょうか。

正しいKPIを語る人の話は、話半分ぐらいで大丈夫。
不安を煽られて悩むぐらいなら、「そんな暇はありません」と適当に決めて走り出せ。

KPIに悩むなら、ご相談ください

そうは言っても、KPIの選び方が分からない。
分析の始め方が分からないという方は、ぜひ私たちにご相談ください。

マーケティングもアクセス解析も、BLUE B NOSEがサポートします。

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