月刊BLUEBNOSE 2026年08月号(#32)『どんなにお膳立てしても、捻くれ者は動かない』

ままならないペルソナという観点だけでなく、もう一つ大事なことを見落としているような気がするので、その「盲点」について改めて。
素直に唆されてくれる、従順なユーザーだけじゃないってことを、計画や勘定に組み入れましょう。
BLUE B NOSE 2026.08.21
誰でも

先日のオウンドメディアでは、作り手にとって都合の良いペルソナを作ってはならない、ペルソナは意思を持たない人形ではなく、心や自我を持つ人格である、という話をしました。

ままならないペルソナだからこそ、自分たちの思い込みやエゴを手放し、客観的な立場を得やすくなる。
相手の自由意志や都合を踏まえた上で、戦略、施策を検討できるようになるのが大きな利点である、と。

マーケティングやセールスを考える上で、見逃せないポイントがもう一つあります。
おまけに、どうやらそれはSNSでの発信や世間の反応を見る限り、上流工程や企画検討を担うお偉方、エリート層が気付いていない盲点でもあるらしい、とも。

今回は、上に立つ人たちが見落としがちな、「理解できたからといって動くとは限らない」点について、改めて考えてみましょう。

伝わっても、動かない

自分の子供でも、親兄弟でも、ペットでも、あるいは自分自身でも。
十分に言い聞かせ、理解できたと何度も確認したところで、言われた通りに行動するとは限りません。

頭では分かっているし、「これをやっちゃいけない」と思っていても、誘惑に負けて体に悪いと分かっているものを摂取したり、やるべきことをやらずにサボっちゃったり、緊張や環境の違いもあっていつも通りに出来ず、失敗してしまったりすることも。

身近にいて、直接指示したり、お願いしたり。時には命令したり、直接身体を拘束、操作することも可能な間柄ですら、思い通りの結果が得られるとは限らない。
それが難しい相手、目の前にいない人が対象となると、なおさらでしょう。

伝わったところで、狙い通りに動かない。
十分、良さやメリットを理解できたとしても、行動や習慣、選択を変えることもない。

あまりにも当たり前のことなんですが、企画を立てるような偉い人、受験勉強を勝ち抜いてきた上層部は、何故かそこを織り込まない。見落としてしまう。

これは、彼らが優秀だったから。
「こうした方がいい」という先人のアドバイスに対し、従順に従い、今の立場、結果を得ているからなのでしょう。

彼らがその立場に到達したという根拠、成功体験が盲点を作り出す。
見えていないからといって、無かったことにはならない大きなポイントです。

反発、抵抗するという自由

徹底的に理解させ、環境も準備してお膳立てまで済ませたところで、「なんか気に入らない」と敷かれたレールを降りてしまう、跳ねっ返りの強い人もいるでしょう。
他人に指図されることを嫌がったり、特定の思惑に誘導しようとする動きに対し、警戒したり。
自由を求めて反発することもあれば、「言い方が気に入らない」とか「態度が気に食わない」ととにかく難癖を付けて抵抗したがることもあるでしょう。

「どう考えてもコレがベスト」と、理論や計算上は正しい上に本人のためにもなる提案だったとしても、首を縦に振るばかりじゃない。相手には自分で自分のことを決める権利も、内心の自由も認められているのであれば、当然です。

でも、高偏差値の人たち、素直に成績を伸ばしてきた人たちには、そうした人が視界に入りにくい。
「自分の言うことを聞けばいいのに」とも思われていそうですが、それが正しかったとしても、他人の言いなりになりたくない人、理解できても反抗する(表現が悪くて申し訳ないですが)「頭の悪い人」、言葉の通じない人は確かにいます。

ロジックを組み立てれば、話はスムーズに通るはず。
そんな世界ばかりじゃないことは分かっているはずなのに、計算や計画から漏れてしまう。
「相手にしなければいい」と思っていても、圧倒的多数がそこに含まれていて、「彼ら」を動かさないと何にも得られないとすると、どうでしょう?

彼らは自分の立ち位置や弱さ、「頭の悪さ」も十分に分かった上で「オレ、頭悪いからよ」と反抗する。
その堂々たる様を理解しているか否かが、企画やマーケティングの成否を大きく左右するでしょう。

世界も人も、無抵抗じゃないし、静止したがる摩擦がある。
アナタが生きて来た世界、常識が必ず通用するとは限りません。

アナタの話に耳を傾ける理由、支持する根拠は?

アナタの言い分が正しくて、ご高説の通りに動けば利点があったところで、それらを聞き入れる理由や、支持する根拠、動機はどこにあるのでしょう?

「いいから聞け」が通用するのは、軍隊のような指揮命令系統が確立されている場合か、体育会系のような上下関係など、暗黙の了解、力による主従関係が成立している場合だけ、です。何なら、そういう環境でも面従腹背、表向きにはニコニコしながら、水面下では承服していない、聞き入れられていないこともあるでしょう。

反抗的な態度、不服従の不満げな要素が対外的に現れてくれれば、まだ対処のしようもありますが、大人として器用に社会を生き抜いている人なら、上手に隠すはず。

大人しく最後まで耳を傾けてくれる、興味関心を持ってもらうだけ御の字。
それすらままならないこともあり得るでしょう。

どんなに正しくて、どんなに自分たちのためになることであっても、頭ごなしに言われると納得できないし、支持できない。聞こえていても、理解できない、あるいは理解したくないという可能性も。

まずは相手と信頼関係を築き、話を聞くに値する人物だと受け入れてもらう。
相手にとって信頼できる仲間であり、自分たちのために話をしてくれているんだと支持を得ること。
その土台、環境整備もなしに、とにかく正しいからと一席打ったところで、馬耳東風。右から左へ抜けていくだけ。

話を聞く価値があると納得してもらう。そして、信用するだけの根拠や、十分な人間関係の構築、もしくは人間性を認めてもらえているか否か。そこを抜きに、上積みの話をしても無意味でしょう。
土台作り、ちゃんと出来てます?

どんなに押し売りしたくても、要らないモノは要らない

理詰めで説得できたところで、相手が「欲しい」と思っていないモノは受け取りません。
子供の頃、苦い薬は飲みたくないと抵抗し、力尽くで飲まされそうになっても吐き出した経験がある方も、もしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。

「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」ということわざを、私もよく引用します。本人に水を飲もうとする意思がなければ、どんなに環境を整えたところで飲ませられない。
口いっぱいに水を含んだまま、窒息を選ぶ強固な意思を発揮する、という可能性も。

喉が渇いたのなら水を飲む、水を飲まなければ朦朧とするのであれば、飲めばいい。
合理性や理屈で考えればその通りですが、人も動物も、合理性や理屈だけに則って生きているとは限りません。

「こう生きたい」という頑固な意思、強烈な想いがあるからこそ、周りの指示や環境に流されたり、素直に従うことはできない。不器用で効率が悪く、合理的でない賢くない個体も、そこらじゅうに存在する。

こちら側が「こうしたい」と思っても、相手は相手の自由意志があり、内心の自由が認められています。
外堀を埋めたり、環境を整えたところで、最後にどうするか決めるのは本人次第。
周りが押し切りたくても、要らないモノは要らない、ノラない時はノラないと突っぱねられる。

マーケティングも、仕事も、人間関係も。思い通りにならないからこそ、面白い。
だから一生、退屈せずに済む。
面倒臭さ、厄介さを楽しみましょう。

素直じゃない人、捻くれ者も計画に織り込むべし

受験勉強や出世競争を勝ち抜いたお利口さん、物分かりが良く、余剰資金も太い実家もある理想的な顧客だけとは限りません。
むしろ、そうじゃない人の方が多いぐらいです。

素直であっても時々魔が差す天邪鬼もいるし、従順そうに見えても、心の底では他人の言いなりになってたまるかと、反骨心旺盛な人もいるでしょう。据え膳食わぬと揶揄されても、強固な意思で跳ね除ける人や、金も名誉もいらない始末に困る大人物だって、存在し得ます。

そうした人も動かせるぐらい、企画の内容や訴求、施策、狙いの精度を上げること。
望洋とした狙いや、机上の空論で上手くいくような時代じゃありません。
少しでも成果を上げたいのであれば、ままならない自由意志がある、徹頭徹尾動きたがらない人もいるという点をお忘れなく。

理想論も、先入観も手放しましょう

「こうなったらこうなる」みたいな、簡易な仕掛け絵本みたいな世の中ではありません。
教科書や指示書に則り、手順通りに理解を得られたところで、仕掛ける側が思い描く理想通りに唆されてくれるとは限らない。
市場もユーザーも、思いのままに動かせるという思い上がり、勘違い、先入観を手放して、リアルに則ったWebサイト制作、マーケティングに取り組んでみませんか?

自分たちのWebサイトや、これから仕掛けるマーケティングが的外れじゃないか、少しでも気になった方は、いつでも気軽にご相談ください。レッドチームとして厳しく突っ込みます。

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